
プロフィール

自らのクルマのカスタムにつぎ込んだ金額は4桁万円に迫るほどというコアなカスタム中毒者でありジャンキーな経歴の持ち主。現在ラリー屋。好きな車はBNR32.最高自動車同時保有台数5。「公道はサーキットではない」をモットーに安全運転を第一とするゴールド免許ドライバー。
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自動車内装に見る人工皮革、合成皮革
2011年08月20日
『クルマ・バイクの内装・カスタム病に感染したジャンキーの集まるサイト』と銘打っているカスタムインフェクションとしては、内装の事についての考え方もブレてはいけないと思っています。

車輛内装材とは言うものの、「内装・DIY」コーナーで、特に座席シート部分の素材にスポットを当ててニュース配信をしています。MJの部屋ではまず「自動車シート素材」について考えてみましょう。
自動車にはグレード別にいわゆる塩ビ素材(商用車・トラックに多い)ファブリック素材(標準的な乗用車に多い)、合成皮革素材(本革の代用として防水性などを持った機能性が求められる多目的車に多い)、人工皮革素材(シートに付加価値や軽量化、スポーツ性などに重点を置く車種に多い)、そして本革素材(言わずと知れた高級車に採用)大きく分けてこの5種類に分けられています。
塩ビ素材はある時期には環境ホルモンであるダイオキシンを発生するという報道でバッシングを受け、大きなダメージを受けました。しかしその後の報道で、廃棄時の処理方法を正しく行うことで、そのような有毒なガスは発生しないことが立証されています。現在、塩ビはその実用性の高さが認められさまざまな製品に使用されており、最近では「エコビ」と呼ばれる地球環境に配慮した素材も開発されるほどです。
確かに塩ビほど完成された人工的な素材はないと言っても過言ではありません。価格が安いうえ耐久性や耐候性、耐薬性などの機能から活躍の場は幅広い。自動車、特に商用車やトラックへの採用が多いのはとりわけこの耐久性と耐候性を買われての事です。その後この優等生「塩ビ」に代わって登場したのが合成皮革。合成皮革も同じく石油を原料としているのですが、塩ビのように薄っぺらく、ビニール特有の固さを出来るだけ抑え、より本革に近い、風合いの高いものに近づけることに成功した素材なのです。製法その他については後日にでも書くこととして、合成皮革はこのような経緯で生まれたのです。
次に人工皮革。この素材は合成皮革とよく混同されるのですが、両者の大きな違いは使われる基布。その違いは人工皮革、合成皮革ともベースとなる基布に発泡させたポリウレタンを含浸するのですが、人工皮革はこのベース(基布)がマイクロファイバー製の基布を使用している点にあります。マイクロファイバーは超極細繊維と表現される3次元絡構造をしています。マイクロファイバーとレギュラーファイバーについても別記しますが、超極細繊維化することで、より耐久性の高い、風合いの良い素材を作り出すことができるのです。

最近は人工皮革に使用される有機溶剤を極力減らそうと、「エコフレンドリー」を謳った地球環境にやさしい素材の開発に大手メーカーが相次いで取り組んでおられます。エコカーと言えば「燃費のイイ車」というイメージが先行しますが、リサイクルや使用している原料もエコを主張する時代も遠くないと思われます。
自動車のシート材としては依然として「本革シート」が最高級品とされています。ドアを開けて室内に入った瞬間のあの独特の香りや、着座時の感触のファンも多いようです。そんなファンの「本革」へこだわりは留まるところを知らず、室内を「自分だけのくつろげる特別な空間として極めたい」と考える方も多くなりました。そんな声にこたえる形で、自動車各社側も相次いで「本革」という素材をただ使用するだけでなく、タンナーにもこだわりはじめ、有名な英国のコノリー社の「コノリーレザー」のようなが名だたる高級車の内装材に採用されるようになりました。さすがにこのレベルまでの人工皮革の開発には至っていませんが、逆にその「超軽量」という特性を活かし、モータースポーツの世界では本革を押しのけて採用されています。
ということでやっと人工皮革と合成皮革はいかに自動車内装材への採用が重要で有用かというお話の前提の大部分がここでお話しできたわけです。
興味のない方は長文でお疲れのことでしょう。しかし、まだまだ続きます。
本コラムで申し上げたい話はここからなのです。
これだけの前提と、人工皮革合成皮革の経緯をお話ししながらお伝えしたいのは自動車メーカーの方々は、「人工皮革と合成皮革の線引きをあまり重要視されていない」という現実です。
細かい棲み分けはあまりユーザーにとっては重要なことではないのかもしれませんが、両者は似て非なるもの。注がれている技術や開発段階での素材の性格は全く違います。しかも、一般ユーザーの受ける「合成皮革」のイメージは「合皮」であり、「安物」というイメージがまだついて回っています。
しかし、町に出回っている安価なバッグに使用されている合成皮革と自動車内装材に採用されるレベルの「合成皮革」は雲泥の差があり、自動車内装材として採用されるには相当高いスペックが要求されるのです。耐久性はもちろん、夏場など室内温度が上昇し70℃に達することもあり、逆に冬場は氷点下になることもあります。そんな耐候性も求められ、さらに過酷な環境に置かれた場合でも有害物質を発生しないというような性能や色落ち、耐摩耗性などが求められます。某シート素材メーカーの担当者の話をお聞きするとギャランティ(製品保証)期間は15年を要求されることもあるそうです。
先ほどお話した一般的な「合皮製バッグ」や「合皮製ジャケット」は長く持っても正直2、3年だろうと思います。合成皮革には最大の弱点である加水分解という化学反応が否応なしに起こるからです。この耐久性に関しても使用される表面処理剤や薬品によって大きな差が出るため、つまりそれらが「製品の価格差」に表れているのです。
長くなりましたが、これだけ高いレベルの素材が自動車をはじめ二輪車にも採用されているのです。
しかし、メーカーのカタログ1つとっても主要装備一覧表の欄外、注釈部分に「※シートの一部に合成皮革を使用しています」と書かれているだけ…。もったいないです。
確かに消費者にとっては、合成皮革と書く方が人工皮革と書くよりも馴染みがあるのかもしれない。でもやっぱり人工皮革なのに「合成皮革を使用してます」って表記するのはおかしい。この逆もしかり。
どうしてなんだろうといつも思っていました。
「このクルマ、大体月2,000台は売れるから、メートル当たり○○円でいれてね」という会話がされているのかどうか分かりません。「安く入れる代わりにうちの製品、ちゃんとカタログで紹介してよね」って一言言えないんだろうか…。恐らく言ってるんだろうなぁ…。素材メーカーも自動車メーカーにお願いしているのだと思いますが、発注者と受注者という力関係からからその「お願い」が進んでいないように思います。
言いにくいなら“まだ”損得勘定のない外部の私がこういう形でご紹介するしかないなと考えました。
普段から実はMJはこんなことも考えながら内装からもクルマ、バイク業界を明るくしたいと日々真剣に考えています。

車輛内装材とは言うものの、「内装・DIY」コーナーで、特に座席シート部分の素材にスポットを当ててニュース配信をしています。MJの部屋ではまず「自動車シート素材」について考えてみましょう。
自動車にはグレード別にいわゆる塩ビ素材(商用車・トラックに多い)ファブリック素材(標準的な乗用車に多い)、合成皮革素材(本革の代用として防水性などを持った機能性が求められる多目的車に多い)、人工皮革素材(シートに付加価値や軽量化、スポーツ性などに重点を置く車種に多い)、そして本革素材(言わずと知れた高級車に採用)大きく分けてこの5種類に分けられています。
塩ビ素材はある時期には環境ホルモンであるダイオキシンを発生するという報道でバッシングを受け、大きなダメージを受けました。しかしその後の報道で、廃棄時の処理方法を正しく行うことで、そのような有毒なガスは発生しないことが立証されています。現在、塩ビはその実用性の高さが認められさまざまな製品に使用されており、最近では「エコビ」と呼ばれる地球環境に配慮した素材も開発されるほどです。
確かに塩ビほど完成された人工的な素材はないと言っても過言ではありません。価格が安いうえ耐久性や耐候性、耐薬性などの機能から活躍の場は幅広い。自動車、特に商用車やトラックへの採用が多いのはとりわけこの耐久性と耐候性を買われての事です。その後この優等生「塩ビ」に代わって登場したのが合成皮革。合成皮革も同じく石油を原料としているのですが、塩ビのように薄っぺらく、ビニール特有の固さを出来るだけ抑え、より本革に近い、風合いの高いものに近づけることに成功した素材なのです。製法その他については後日にでも書くこととして、合成皮革はこのような経緯で生まれたのです。
次に人工皮革。この素材は合成皮革とよく混同されるのですが、両者の大きな違いは使われる基布。その違いは人工皮革、合成皮革ともベースとなる基布に発泡させたポリウレタンを含浸するのですが、人工皮革はこのベース(基布)がマイクロファイバー製の基布を使用している点にあります。マイクロファイバーは超極細繊維と表現される3次元絡構造をしています。マイクロファイバーとレギュラーファイバーについても別記しますが、超極細繊維化することで、より耐久性の高い、風合いの良い素材を作り出すことができるのです。

最近は人工皮革に使用される有機溶剤を極力減らそうと、「エコフレンドリー」を謳った地球環境にやさしい素材の開発に大手メーカーが相次いで取り組んでおられます。エコカーと言えば「燃費のイイ車」というイメージが先行しますが、リサイクルや使用している原料もエコを主張する時代も遠くないと思われます。
自動車のシート材としては依然として「本革シート」が最高級品とされています。ドアを開けて室内に入った瞬間のあの独特の香りや、着座時の感触のファンも多いようです。そんなファンの「本革」へこだわりは留まるところを知らず、室内を「自分だけのくつろげる特別な空間として極めたい」と考える方も多くなりました。そんな声にこたえる形で、自動車各社側も相次いで「本革」という素材をただ使用するだけでなく、タンナーにもこだわりはじめ、有名な英国のコノリー社の「コノリーレザー」のようなが名だたる高級車の内装材に採用されるようになりました。さすがにこのレベルまでの人工皮革の開発には至っていませんが、逆にその「超軽量」という特性を活かし、モータースポーツの世界では本革を押しのけて採用されています。
ということでやっと人工皮革と合成皮革はいかに自動車内装材への採用が重要で有用かというお話の前提の大部分がここでお話しできたわけです。
興味のない方は長文でお疲れのことでしょう。しかし、まだまだ続きます。
本コラムで申し上げたい話はここからなのです。
これだけの前提と、人工皮革合成皮革の経緯をお話ししながらお伝えしたいのは自動車メーカーの方々は、「人工皮革と合成皮革の線引きをあまり重要視されていない」という現実です。
細かい棲み分けはあまりユーザーにとっては重要なことではないのかもしれませんが、両者は似て非なるもの。注がれている技術や開発段階での素材の性格は全く違います。しかも、一般ユーザーの受ける「合成皮革」のイメージは「合皮」であり、「安物」というイメージがまだついて回っています。
しかし、町に出回っている安価なバッグに使用されている合成皮革と自動車内装材に採用されるレベルの「合成皮革」は雲泥の差があり、自動車内装材として採用されるには相当高いスペックが要求されるのです。耐久性はもちろん、夏場など室内温度が上昇し70℃に達することもあり、逆に冬場は氷点下になることもあります。そんな耐候性も求められ、さらに過酷な環境に置かれた場合でも有害物質を発生しないというような性能や色落ち、耐摩耗性などが求められます。某シート素材メーカーの担当者の話をお聞きするとギャランティ(製品保証)期間は15年を要求されることもあるそうです。
先ほどお話した一般的な「合皮製バッグ」や「合皮製ジャケット」は長く持っても正直2、3年だろうと思います。合成皮革には最大の弱点である加水分解という化学反応が否応なしに起こるからです。この耐久性に関しても使用される表面処理剤や薬品によって大きな差が出るため、つまりそれらが「製品の価格差」に表れているのです。
長くなりましたが、これだけ高いレベルの素材が自動車をはじめ二輪車にも採用されているのです。
しかし、メーカーのカタログ1つとっても主要装備一覧表の欄外、注釈部分に「※シートの一部に合成皮革を使用しています」と書かれているだけ…。もったいないです。
確かに消費者にとっては、合成皮革と書く方が人工皮革と書くよりも馴染みがあるのかもしれない。でもやっぱり人工皮革なのに「合成皮革を使用してます」って表記するのはおかしい。この逆もしかり。
どうしてなんだろうといつも思っていました。
「このクルマ、大体月2,000台は売れるから、メートル当たり○○円でいれてね」という会話がされているのかどうか分かりません。「安く入れる代わりにうちの製品、ちゃんとカタログで紹介してよね」って一言言えないんだろうか…。恐らく言ってるんだろうなぁ…。素材メーカーも自動車メーカーにお願いしているのだと思いますが、発注者と受注者という力関係からからその「お願い」が進んでいないように思います。
言いにくいなら“まだ”損得勘定のない外部の私がこういう形でご紹介するしかないなと考えました。
普段から実はMJはこんなことも考えながら内装からもクルマ、バイク業界を明るくしたいと日々真剣に考えています。
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